ここでは人の免疫システムについてお話します。

あなたもご存知のように、HIVに感染するとこの免疫システムが徐々に破壊され、エイズを発症してしまいます。エイズ以外の性感染症も免疫力とは深い関係にあります。

私たち人間が誰でも持っている免疫システムは、大きく分けると細胞性免疫と体液性免疫の2つに分かれます。それぞれの働きを分かりやすくまとめてみました。

そもそも、人の免疫システムってなんでしょうか?人の身体には、外から侵入してくる異物を攻撃し、病気から身体を守ってくれる機能が備わっています。これを生体防御と言います。

生体防御には、物理的防御科学的防御の2つがあります。物理的防御とは、皮膚、体毛、粘膜、涙などで、細菌の侵入を物理的に防いだり、排出したりする防御を言います。

一方、科学的防御とは、汗、皮脂、唾液など殺菌作用のある体液による防御のことを言います。そして、物理的、化学的防御を総称して免疫システムと呼びます。(以上、「ウイルス・病原菌」東西社/竹内修二監修より)

では、この免疫システムに守られている、私たちの身体にはどのくらいの細菌が存在するのでしょうか。「人体常在菌のはなし」(集英社/青木皐著)によれば、人間の消化器系には60種類から100種類の菌が100兆個もいるそうです。口の中には100億個、皮膚には1兆個の菌がくっついているそうです。その菌を全部集めると、何と重さが1キロから1.5キロにもなるそうです。

電子顕微鏡でないと見えないミクロの世界に住む細菌の重さが1キロ?確かに本にはそう書いてあります。ちょっと、にわかには信じがたい数値ですね。そのくらい、多くの細菌が身体の内外に住みついたり、どんどん外から入ってくると言うことですね。

これらの細菌の中には無害なものも多く存在し、全てが病気の元になる訳ではありません。しかし、中には大変有害な細菌もいるわけで、それをやっつけてくれるのが免疫システムです。

それでは、下の図を見て下さい。人の免疫システムは非常に複雑なので、文章だけでは分かりにくいと思い、私が自分で図を作って見ました。この図を見ながら、以下の説明文を読んで下さい。

人の免疫システムを構成する免疫細胞は、主に血液中にあります。血球成分の中の白血球がその中心です。白血球は、マクロファージ、顆粒球、リンパ球の3つの免疫部隊を持っています。

この顆粒球とリンパ球は、それぞれがまた3つの部隊に分かれています。軍隊で言えば、中隊、小隊、みたいなもんでしょうか。私がかってにそうイメージしているだけで、学問上はどうか知りませんけど。

まず、顆粒球中隊ですが、これは好酸球、好中球、好塩基球の3小隊に分かれます。このうち、好中球小隊が、体内パトロールと先制攻撃を担当しています。次に、リンパ球中隊ですが、こちらも3つの小隊に分かれています。それがNK細胞、B細胞、T細胞と呼ばれる3小隊です。更にこのうち、T細胞小隊は、役割が異なる3つのグループに分かれています。ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サブレッサーT細胞の3つです。

ここまで読んでくれた人、もういい加減に嫌気がさしていませんか?何層にも続く防御システムがこんなつたない文章では理解出来ませんよね。申し訳ありません。確かに奥が深いのです。血液から始まって、例えばヘルパーT細胞までたどり着くには、

血液>血球成分>白血球>リンパ球>T細胞>ヘルパーT細胞

実に6層構造のシステムです。分かりにくいと思いますので、上の図を見て理解して頂けたらと思います。まぁ、私が作った図なので、あまり分かりやすくないかも知れませんが。とにかく、人間の免疫防御システムは高度でかつ複雑であり、それぞれ役割の異なるいくつかの大隊・中隊・小隊・グループが存在していると思って下さい。

では、それぞれがどんな役割を負っているのか、簡単に説明します。
まず、体内に入ってくるウィルスや細菌などの侵入者を常時体内パトロールで警戒しているのが、マクロファージと顆粒球です。顆粒球はその90%が好中球と呼ばれるものなのですが、これが強力なパトロール部隊であり、同時に攻撃部隊でもあります。侵入者を見つけた好中球は即座に攻撃に入ります。侵入者を取り込んで殺してしまうのです。しかし、相手が手強いとマクロファージの応援を依頼します。

マクロファージは助っ人に行くと同時に、相手の情報をT細胞へ伝えます。この連絡にはサイトカインやケモカインと呼ばれる分子量の小さな物質を放出して行います。しかし、好中球やマクロファージの手に負えない強敵となると、マクロファージから情報を受けたT細胞が応援に繰り出します。

T細胞の中の、ヘルパーT細胞は、免疫制御の司令塔の役割です。B細胞やキラーT細胞に攻撃命令を出します。そしてキラーT細胞はその名の通り、外部からの敵に直接取り付いて、殺してしまいます。いわば殺し屋部隊です。こんなふうに細胞自体で攻撃する働きを細胞性免疫と言うそうです。

一方、B細胞は、ヘルパーT細胞からの指示を受けて、次々と抗体を作り出して血液中に放出します。この抗体がウィルスや細菌と戦います。キラーT細胞が自分自身で戦うのに対して、B細胞は、抗体という飛び道具で戦います。地対空ミサイル発射!みたいな感じですかね。こちらの働きを体液性免疫と呼ぶそうです。

一番最初に書いたように、私たちは細菌まみれと言ってもいいくら周囲にウイルスや細菌を抱え込んで生活しています。それを可能にしているのは、細胞性免疫、体液性免疫の免疫システムです。それなしには健康な生活は出来ないのです。

このありがたい、大切な免疫システムですが、その強さには人によって個人差があります。また、同じ人でも体調の善し悪しで免疫力が強くなったり、弱くなったりします。

この免疫力が低下したときに、普段なら免疫力に抑えられて大人しくしている常在菌が増えて暴れることがあります。性感染症の中にもそういった病気があります。

例えば、トリコモナス症、カンジダ症、性器ヘルペス、細菌性膣炎などはみなそうです。体力が落ちたりストレスがたまって免疫力が低下すると、こういった感染症になりやすくなります。

以上、免疫力と性感染症ということでお伝え致しました。