HIV/エイズ 2010年の動向報告
2月7日にエイズ動向委員会から、2010年のHIV感染者、エイズ患者の動向報告が出ました。取りあえずの速報版で、正式版は多分夏ごろに発表になると思います。(毎年7月か8月です)
では、この速報版から主な数字を拾ってあなたにご紹介したいと思います。なお、このページのデータは全てここから引用しています。⇒『エイズ動向委員会報告』
このデータから日本国内では依然としてHIV感染者、エイズ患者が増え続けていることが分かります。どうぞ、あなたはHIVに感染しないよう、「いきなりエイズ」を発症しないよう、ご注意ください。
・・1.2010年 HIV感染者/エイズ患者/感染ルート
まず、2010年に報告された新規HIV感染者、エイズ患者の件数と、その感染ルートからご紹介することにします。下の表をご覧下さい。エイズ動向委員会のデータを管理人がまとめたものです。
この表から次のようなことが分かります。
・・◇新規HIV感染者
新規のHIV感染者は1,050件の報告数で過去3位でした。また2009年に比べると29件の増加となっています。ちなみにこれまでの最高は2008年(平成20年)の1,126件でした。この数値を見る限り、新規のHIV感染者は増加傾向にあると言えると思います。
・・◇新規エイズ患者
新規のエイズ患者は453件の報告数で、実に過去最多となってしまいました。これまでは2008年、2009年の431件が最多でした。新規のエイズ患者は2003年からほぼ右肩上がりで増加傾向です。
・・◇感染ルート
新規HIV感染者、エイズ患者ともに男性の同性間性的接触が最大感染ルートになっています。これはコンドームの不使用率が高いこと、アナルセックスによる感染リスクが高いことなどが理由と考えらえています。
・・2.HIV感染者/エイズ患者 年齢層別分布
では、新規のHIV感染者、エイズ患者はどんな年齢層に多いのでしょうか。次のグラフをご覧下さい。
・・◇新規HIV感染者
20代、30代にHIV感染者が多く集まっています。しかし、40代、50代以上のHIV感染者も依然として多く、増加傾向にあります。年齢的に避妊の必要がない場合でもHIV感染は年齢に関係ありません。50代以上のあなたもHIV感染予防には十分ご注意ください。
・・◇新規エイズ患者
高齢者についてはエイズ患者が深刻です。実に新規エイズ患者の60%近くが40代以上です。むろん、HIVに感染してから発症までの潜伏期間が長いと言うこともあるでしょうが、それだけではないと思います。
これは私が思うだけなのですが、40代、50代以上の人は20代、30代に比べて「まさか自分が・・・」、「自分は大丈夫だ・・」と思っている人が多いのではないでしょうか。そして、高齢であるがゆえに、世間体が気になってHIV検査を受けることが出来ないのではないでしょうか。
私はまさに50代ですが、私の友人、知人の中にHIV検査を受けた経験者はたったの1人しかいません。それも保健所は嫌だとためらっていたのを無理やり検査キットを購入して受けさせたのです。
こんな危機感のない、あるいは世間体を気にする中高年は私の周囲だけの話でしょうか。あなたの友人、知人、周囲の中高年はいかがですか?そして、あなたご自身はいかがですか?
・・3.いきなりエイズ
あなたは「いきなりエイズ」をご存知ですか?自分がHIVに感染していることに気がつかず、エイズを発症してから気がつくことを言います。文字通り、「いきなりエイズ」です。
今回ご紹介した新規エイズ患者の報告件数はそのまま「いきなりエイズ」の件数となります。なぜなら、新規のエイズ患者は過去の新規HIV感染者と重複しないのです。
例えば、2005年にHIVに感染した人が2010年にエイズを発症しても、それは新規エイズ患者としてカウントされることはありません。新規HIV感染からの病変として任意に報告されるだけです。
つまり、新規エイズ患者とは、HIV感染に気がつかなかった「いきなりエイズ」の患者なのです。2010年ではHIV感染者の30%が「いきなりエイズ」を発症しています。
現在の抗HIV治療では、HIV感染が早期に分かっていればエイズの発症を抑えることも可能になっています。もしもあなたが不幸にしてHIVに感染していたとすれば、「いきなりエイズ」発症前にHIV検査を受けるかどうか、それがあなたの命を救えるかどうかの分かれ道になるかも知れません。
では、日本ではどのくらいの「いきなりエイズ」が発生しているのかを見てください。
「いきなりエイズ」の発症件数は増加傾向が続いています。発症率も30%の高い水準を保ったままです。この「いきなりエイズ」のデータを見る限り、更にHIV検査を広める必要があると思います。
・・4.保健所などによるHIV抗体検査
「いきなりエイズ」が増加している要因の1つと考えられるのが、HIV検査の件数減少です。次のグラフを見て下さい。
ひと目で分かりますが、2009年、2010年と2年連続で大きく検査数が減少しています。実際の検査数の推移は次の通りです。
・・◇保健所などにおけるHIV抗体検査件数の推移
2007年:153,816件⇒2008年:177,156件⇒2009年:150,252件⇒2010年:130,930件
以上のように、最も検査数が多かった2008年に比べれば▲46,226件、26%も減っています。これは色々な要因があるでしょうが、一番の要因はHIV、エイズに対する関心が薄れつつあることではないでしょうか。
・・5.まとめ
日本では毎日4人以上がどこかでHIVに感染しています。こんな状況の中、今回の2010年エイズ動向報告の発表に際して、エイズ動向委員会は、「HIV感染者もエイズ患者も増加しており、HIV感染は身近な問題として感染予防に努めるべきである」とのコメントを出しています。
このコメント中の、「身近な問題」と言う部分がポイントだと思います。HIV感染を「自分の身近な問題」だと思っていないから検査を受けないのだと思います。
私も自分がHIV感染の疑いがあるまでは、正直まったく無関心でした。でも、いったん自分にHIV感染の疑いが出ると、それこそ怖くてノイローゼ状態でした。
HIV感染やエイズ発症の予防には、それを自分の身近な、いつでも起こり得るリスクだと、とらえることが最も大事ではないでしょうか。そして、もしかしたら最も難しいことでもあるかも知れません。
この記事を読んでくれたあなたには、HIV検査をぜひご自分のリスク管理だと思って頂きたいと願っています。
本文中に「いきなりエイズ」の発症件数を書きましたが、「いきなりエイズ」を発症する前に治療を開始出来るか、「いきなりエイズ」を発症してから治療するか、この治療開始のタイミングの差が生死を分けることもあります。
どうぞあなたはHIVに感染しないようご注意ください。そして少しでも不安に思うなら、早期にHIV検査を受けることをお勧め致します。「いきなりエイズ」を発症する前に。
ご参考までに私が使ったHIV検査を含む検査キットをご紹介しておきます。自宅で誰にも顔を合わせず簡単・安全に使えます。保健所や病院にはどうしても行きたくない人はどうぞ。
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