性感染症(性病)の動向(年別)

このページでは、「性感染症(性病)の動向(年別)」の説明をします。まだ「動向(概要)」をご覧になっていない方は、このページを見る前に「動向(概要)」をご覧下さい。

各性感染症(性病)の年別動向

では、それぞれの性感染症(性病)ごとに、平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間の動向をグラフから見てみましょう。ここに掲載するグラフは、厚生労働省がweb上で公開するデータを元に、管理人が自分で作成致しました。

なお、「性感染症(性病)の動向(概要)」でも説明したように、HIV/エイズと梅毒は全数報告、クラミジア感染症、性器ヘルペス、淋菌感染症、尖圭コンジローマの4疾患については、指定医療機関による定点報告のデータを使っています。(全数報告、定点報告の定義は「年別動向」を参照ください。)

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◇6疾患の平成16年(2004年)から平成20年(2008年)までの推移

まずは性感染症(性病)の動向全体をつかんで頂きましょう。ぱっと見ると、どの性感染症(性病)も感染者は減少か横ばいのように見えます。このデータだけで判断するとそうなるのですが、実際にはそう簡単にいきません。

なぜなら、HIVと梅毒以外は全数報告ではなく、定点報告だからです。感染した人が何かの自覚症状があって、たまたま指定医療機関を利用した場合にのみ、ここのデータに出てきます。

定点報告を義務付けられている指定医療機関は、私たち利用者からはどこが指定医療機関なのか分かりません。指定医療機関以外で診察を受けた患者はデータに上がりません。

現在、全国に指定医療機関は970ほどあるそうです。そして、必ずしも人口に比例する数だけ指定医療機関が設けられている訳でもありません。例えば東京都は日本の人口で言えば9.4%もの人が集まっていますが、定点医療機関の数の比率で 言えば4.4%しかないのです。

また、性感染症(性病)では自覚症状がないものも多く、医療機関に行かない感染者も多数います。例えば、クラミジア感染症では、感染した人の5人に4人は自覚症状がないのだそうです。

こういったことから、必ずしもこのグラフが性感染症(性病)の動向を完全に反映しているかどうか、疑問なことろもあるかも知れません。ただ、大枠の傾向として目安にはなります。

それでは、もっと詳細に各性感染症の動向を見ていきましょう。

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◇HIV感染 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 全数報告データ使用

このグラフを見て頂くと、一目瞭然です。平成20年(2008年)まではHIV感染者は増加の一途をたどっています。圧倒的に男性のHIV感染者が多いのですが、これは男性の同性愛者によるHIV感染が多い為です。平成20年を例にとるなら、全HIV感染者1,126人中、男性同性愛者は779人(69.2%)になります。

HIV感染者の絶対数こそ諸外国と比較して少ないものの、年々増加傾向にあるのは先進国では日本だけです。ただ、このグラフには載せていませんが、平成21年(2009年)のHIV感染者は、男女合計で1,008人で、前年よりも減少しています。

しかし、HIV感染者が減少したからと言っても、全く喜べないのです。何故なら、保健所でHIV(エイズ)検査を受けた人が大幅に減っているからです。HIV(エイズ)検査を受けた人が減れば当然検査で見つかるHIV感染者も減ります。この実態を平成20年(2008年)と平成21年(2009年)で比較してみましょう。

・平成20年(2008年)   HIV感染者合計  1,126人   全国の保健所でHIV検査を受けた人  177,156人

・平成21年(2009年)   HIV感染者合計  1,008人   全国の保健所でHIV検査を受けた人  150,252人

対前年                     -118人(-10.5%)                   -26,904人(-15%)

このように見かけ上HIV感染者は減っているのですが、本当に実態を反映しているデータなのかどうか、まだ分かりません。検査を受けていない隠れHIV感染者がたくさんいる可能性もあります。

HIVに感染してもエイズ発症までの潜伏期間は5年から10年と極めて長く、しかもその間は何も自覚症状がありません。自分がHIVに感染していることに気が付かない可能性が高いのです。しかも、自分がHIVに感染しているのに気が付かないだけでなく、他の人にうつしてしまう可能性もあります。

かつて日本に初めてエイズが上陸した頃は、HIV感染、エイズ患者は薬害や同性愛者だけの病気だと思われていました。しかし、25年あまり経った今、HIV、エイズは私たちのすぐ身近な性感染症であり、ごく普通の性行為を通して感染します。

いくらいい薬が開発されたと言っても、未だにHIV感染は不治の病であることには間違いありません。HIV感染者が増加の一途をたどっている今、私たちは自分の身は自分で守る以外にないと思います。

なお、HIV/エイズに関して、もっと詳しく知りたい人は姉妹サイトをご覧ください、⇒『HIV(エイズ)検査完全ガイド』

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◇エイズ患者 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 全数報告データ使用

前項でHIV感染者の動向をお話しましたが、この項ではエイズ患者についてお話します。HIV感染者が増加の一途をたどっている以上、エイズ患者もまた増加を続けています。ただし、HIV感染者同様、平成21年(2009年)については前年よりもエイズ患者が減少しています。

・平成20年(2008年)  エイズ患者   431人

・平成21年(2009年)  エイズ患者   420人

対前年                  -11人(-2.5%)

かつてはHIVに感染するとエイズを発症し、数年後には死んでしまうことが多かったのです。しかし、1997年頃からHAARTと呼ばれる抗HIV療法によって、HIVに感染してもエイズ発症を抑えられるようになってきました。これでエイズによる死亡者は激減したのです。

では、平成元年(1989年)から平成20年(2008年)まで、20年間に渡るエイズ患者の死亡数推移をグラフで見てみましょう。1997年(平成9年)あたりを境に亡くなる患者が減っていることがよく分かると思います。(グラフ中、緑の点線が1997年です。)

◇平成元年から平成20年までのエイズによる死亡者推移(任意報告による)

このように、今やHIV感染は早期発見さえ出来れば、必ずエイズを発症して死に至る病気ではなくなりました。一部のメディアでは「慢性疾患と同じようなものだ」とまで書かれています。少なくとも致死的疾患ではなくなりました。

関連記事:「検査キットの選び方(HIV編)」

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◇梅毒 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 全数報告データ使用

「梅毒なんて、遠い過去の性病、今時そんな心配いらない」なんて、思っていませんか?確かに、昭和30年代くらいまでの猛威をふるった時代に比べれば問題にならないくらい患者は減っています。特に、1980年代に入ってエイズ予防が大キャンペーンを張って実施され、結果として梅毒など他の性感染症(性病)も感染者が減りました。

しかし、このグラフを見てもらえば分かるように、ここ数年はまた梅毒感染者が増加傾向となっています。初期の症状が出にくい時期が、一番感染力が強いのです。自分が梅毒に感染したことを知らないで他にうつしていることがあります。20代、30代の男性に特に感染者が多くなっています。

梅毒はHIVとの重複感染も多く、要注意です。

関連記事:「梅毒」

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◇クラミジア感染症 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 定点報告データ使用

平成14年(2002年)をピークにしてクラミジア感染者数は減り続けています。しかし、依然として国内では最も感染者数の多い性感染症(性病)です。現在、およそ100万人ほどのクラミジア感染者がいると言われています。特に若い女性に感染者が多いのが特徴で、次のページで年代別の動向をお話しますが、20歳から24歳の女性では16人に1人がクラミジアに感染していると言う推計もあるくらいです。

クラミジア感染症は感染してもなかなか症状の出にく病気で、知らないうちに自分の体内で感染は進み、他の人にもうつしてしまうことがあります。このグラフのように、本当にこのままクラミジア感染は減っていくのかどうか、定点報告データのみでは断言出来ないそうです。

関連記事:「クラミジア感染症」

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◇性器ヘルペス 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 定点報告データ使用

女性に多い性感染症(性病)です。定点報告の結果グラフから見る限り、平成18年(2006年)から、性器ヘルペスの感染者数は減少傾向にあります。感染のトレンドとしては、オーラルセックスの流行による唇や喉への感染があります。

性器ヘルペスのウイルスには、単純ヘルペスウイルスⅠ型・Ⅱ型と2種類があります。Ⅰ型に感染すると唇や口内に潰瘍(かいよう)が出来ます。Ⅱ型に感染すると性器に潰瘍が出来ます。しかし、近年オーラルセックスが一般化し、Ⅰ型が性器に、Ⅱ型が唇や口内に感染する例が目立っているそうです。

関連記事:「性器ヘルペス」

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◇淋菌感染症 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 定点報告データ使用

淋菌感染症は、圧倒的に男性に感染者の多い性感染症(性病)です。平成14年(2002年)をピークに感染者数は減少しています。この傾向はクラミジア感染症とよく似ています。淋菌感染症もクラミジア感染症と同じく、このデータだけでは実際の感染者が減り続けているとは断言出来ないそうです。

関連記事:「淋菌感染症」

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◇尖圭コンジローマ 平成11年(1999年)から平成20年(2009年)までの10年間 定点報告データ使用

尖圭コンジローマについては、目立った感染者の増減もなく、ほぼ横ばい傾向で推移しています。

関連記事:「尖圭コンジローマ」

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以上、全数報告のHIV、梅毒、定点報告のクラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマの6疾患について、平成20年(2008年)までの10年間に渡る動向をグラフでご紹介しました。

このグラフからの結論として、

①HIV感染は平成20年(2008年)までは増加の一途をたどり、平成21年(2009年)にやっと増加が止まったが、実は保健所におけるHIV(エイズ)検査を受けた人が15%も減っており、実際の感染者が減ったとは断言出来ない。

②梅毒については、近年男性において患者数の増加が見られる。

③クラミジア感染症、淋菌感染症は平成14年(2002年)をピークに、共に減少傾向が見られるが、定点報告のみでは減少を真に断言出来ない。

以上です。では、引き続き「性感染症の動向(年齢層別)」をご覧下さい。

ご参考までに、私が使ったHIVの検査キット、そしてクラミジアや淋菌の検査キットをご紹介しておきます。保健所には行き辛い、病院はドクターハラスメントが怖い、もしもあなたがそう不安に思うなら、迷わず検査キットを使ってください。何より大事なことは、あなたが重症化の前に検査を受けることです。

*何と言っても一番気になるのはHIVです。私も使用しました。*

・STD研究所 STDチェッカー TypeJ(男女共用)
検査対象:HIVのみ

*女性用として一番使われている検査キットです。*

・STD研究所 STDチェッカー TypeF(女性用)
検査対象:HIV、梅毒、クラミジア、淋菌、トリコモナス、カンジダ
HIV、梅毒は放置していると非常に危険です。その他の4疾患は女性に感染者が多い性感染症です。

*男性用として一番使われている検査キットです。*

・STD研究所 STDチェッカー TypeE(男性用)
検査対象:HIV、梅毒、クラミジア、淋菌
HIV、梅毒は放置していると非常に危険です。その他2疾患は男性にも感染者が多い性感染症です。

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