怖い「いきなりエイズ」
「いきなりエイズ」とは、HIVに感染したことに気付かず、文字通りいきなりエイズを発症することです。
国内のHIV感染者の約3人に1人が「いきなりエイズ」を発症しています。
ここでは、「いきなりエイズ」の4項目について、順を追って説明していきます。
1.「いきなりエイズ」とは何か?
2.「いきなりエイズ」の問題点
3.「いきなりエイズ」の発症状況
4.「いきなりエイズ」の予防法
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・・1.「いきなりエイズ」とは何か?
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あなたも試しにネット検索で「いきなりエイズ」を調べて見て下さい。私がgoogleで検索したところ、約15万件がヒットしました。「いきなりエイズ」と言う表現はかなり普及している気がします。すでに5年ほど前から、厚生労働省の正式文書にも使われています。(それ以前にもあるかも知れません)
その意味は、次のようなものです。
HIVに感染した人が、自分の感染に気がつかず、何も治療を受けずにどんどん免疫力が低下し、身体の異変に気が付き病院で診てもらったら、「エイズを発症しています」と診断される場合を言います。
つまり、HIV感染と言うエイズ発症前の状態を知らずに、文字通り「いきなりエイズ」を発症、告知されることを言うのです。
では、なぜ、「いきなりエイズ」は起きるのでしょうか?
あなたもご存知のように、私たちがHIVに感染しても初期に風邪に似た症状が出る程度で、ほとんど自覚症状がありません。その初期の風邪に似た症状を、急性HIV感染症と言いますが、感染者全員に出る訳でもありません。全く何も自覚症状がない人も多くいます。
つまり、
「あ!HIVに感染してしまった!」
などと、感染直後に自分で分かることはないのです。風邪をひいて咳やくしゃみが出たり、熱が出たりして気が付くような訳にはいかないのです。
このように、HIVは感染しても自覚症状が出ないまま、長い潜伏期間に入ってしまいます。感染した人によっても違いますが、5年から10年と言われています。この間、自分では感染していると分かりません。(ただし、近年潜伏期間は短くなっており、3年以内にエイズを発症する事例が増えています。)
しかし、無症候期においても身体の中ではHIVがどんどん増殖していきます。反対に免疫細胞は破壊されて減っていきます。そして、ついに長い潜伏期間の末に免疫不全となりエイズを発症するのです。
私たちが、エイズ発症前にHIVに感染していることを知るのは、HIV検査で陽性判定が出たときです。また、HIVに感染していないことを知るのは陰性判定が出たときです。
HIV検査を受ける以外に、HIVに感染したかどうかを判定する方法はありません。
従って、なぜ「いきなりエイズ」が発生するかと言えば、HIV感染の可能性のある人が、HIV検査を受けていないからです。検査を受ける以外に感染の有無を知る方法がないのですから、この理由しかありません。
HIV検査を受けない理由は色々とあるでしょう。
「私は絶対に感染していない。」
根拠のない自信、思い込みで受けない人もいるでしょう。
逆に、
「自分は感染している可能性が高い、だから検査結果が怖くて受けられない・・・」
こう思う人もいるでしょう。
実は私自身は後者でした。何ヶ月も決心がつかずに迷いました。
「もしも、陽性だったら・・・」
その不安と怖さに保健所へ行けなかったのです。このパターンは、HIVやエイズについて、正しい知識が不足している人に起きるパターンだと思います。当時の私がまさにそうでした。エイズは死の病気だと思い込んでいたのです。
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・・2.「いきなりエイズ」は何が問題か?
・
さて、こうして発生する「いきなりエイズ」ですが、何が問題となるのでしょうか。真っ先に問題となるのは、
エイズ発症前に治療が出来ないこと
です。
かつては致死的疾患であったHIV感染症ですが、現在ではいい薬、いい治療法が見つかって死ぬ人は激減しました。HIVに感染しても、体内のHIVをコントロール出来るようになったのです。1997年ごろから始まったARTと呼ばれる抗HIV療法により、エイズ発症を抑えることが出来るのです。
しかし、それも早期発見、早期治療が出来ればの話です。病気はどんな病気でもまずは早期発見が一番大事であり、HIVも同じです。「いきなりエイズ」では、すでに免疫力が低下してエイズを発症している訳ですから、ここからの治療がより困難なのは当然です。
国立国際医療センターの調べでは、いきなりエイズ発症前に治療を開始した場合と、エイズ発症後に治療を開始した場合では、その後の生存率に差がでると分かりました。
●エイズ発症前に治療開始した場合
HIV感染120週後の生存確率は99%
●いきなりエイズ発症後に治療を始めた場合
HIV感染120週後の生存確率は80%
なのだそうです。ただしエイズ関連死以外を含みます。(「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」医薬ジャーナル社による)
せっかく医学が進歩してHIVに感染してもエイズ発症を抑えることが出来るようになったのに、「いきなりエイズ」を発症してしまうのはとても残念なことだと思います。
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・・3.「いきなりエイズ」の発症状況
・
それでは、現在の日本でどのくらい「いきなりエイズ」が発症しているのか、データを見てみましょう。まずは、下のグラフ1を見て下さい。厚生労働省エイズ動向委員会から発表された、平成11年から、平成23年までの新規HIV感染者とエイズ患者の推移です。

グラフ1.新規HIV感染者とエイズ患者
グラフからもお分かりのように、HIV感染者、エイズ患者ともに増加傾向にあります。ここ2年ほど新規HIV感染者が横ばい傾向にも見えますが、保健所などで行っているHIV検査を受ける人が減少しており、本当にHIV感染者が減ってきたのか、単に検査を受ける人が減って感染者が見つかっていないだけなのか、まだはっきとは分かっていません。
では、こうしたHIV感染者、エイズ患者が増加傾向にある中で、「いきなりエイズ」の発症率がどうなっているかグラフ2を見て下さい。

グラフ2.いきなりエイズ発症率
グラフ2からお分かりの通り、国内における「いきなりエイズ」の発症率は30%を超え、平成21年からは増加傾向にあります。
先ほども書きましたが、HIVに感染してもエイズ発症前に検査で見つかればエイズ発症を防ぐことが出来るだけに、この発症率はとても残念だと思います。
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・・4.「いきなりエイズ」の予防法
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「いきなりエイズ」を予防するには早期のHIV検査を受けるしかありません。では、どうすればHIV検査をもっと多くの人が受けるようになるでしょうか。
私が思うには次の2つの施策が必要だと思います。
1.保健所におけるHIV検査の利便性を向上させる。
最近では即日検査の保健所が増えてきましたが、それでもまだ通常検査しかやっていない保健所も多数あります。
●即日検査⇒1時間くらいで検査結果が分かる。保険所には1回行けばいい。
●通常検査⇒1回目が採血、2回目が検査結果の通知。保健所に2回行く必要がある。
家が保健所の近所だったらいいですが、けっこう遠い人は2回行くのが面倒だと思う人もいるでしょう。
例えば、大阪府ではHIV検査を行っている保健所が15ヶ所あります。このうち即日検査をやっているのはたったの4ヶ所です。後の11ヶ所の保険所では1週間後に再度保健所まで検査結果を聞きに行かなければなりません。
何せHIV検査は匿名検査なので、電話、メール、郵送、代理人が使えません。必ず本人が保健所まで検査結果を聞きに行く必要があるのです。
即日検査を増やすことと同時に、検査時間枠を広げて利便性を高めて欲しいと思います。私の住んでいる地方都市では、市内に保健所は1ヶ所のみで、平日の昼間のみHIV検査を行っています。それも完全予約制で、ひと月に2回か3回しか実施していません。
・
2.「いきなりエイズ」に対する危機感を持つ
これは保健所の問題ではなく、あなたや私の問題です。いくら保健所の利便性が良くなっても、そもそもHIV検査に無関心であれば検査を受けることはありません。
「いきなりエイズ」に無警戒であればHIV検査の必要性すら感じないでしょう。実はそれが一番危ないことであり、「いきなりエイズ」発生の最大要因だと思います。
真剣にHIV感染を不安に思う人は保健所の利便性が悪くても検査を受けに行きます。その反対に無関心の人はどんなに利便性が良くなっても保健所には行きません。
日頃からHIV感染のリスクがごく身近に存在することを知って、早期のHIV検査が救命的検査であることを認識することが大事だと思います。
「何が危険か知らないことが最も危険」
昨年12月の世界エイズデーのとき、ネットのTV番組で見たエイズ特番では、HIVとエイズの違いを言えない若者が何人もいました。もっとエイズに対する正確な情報や知識の啓蒙活動が必要だと思いました。
国や地方、学校や各種メディアが協調して啓蒙活動を行う必要があると思うのですが、現状ではなかなか出来ていないと思います。こうした活動は「いきなりエイズ」の予防と同時に、世の中のHIV感染者、エイズ患者に対する偏見と差別の排除にも役立つと思います。
もっとも、今一番大事なことは、世間が危機感を持つことではなく、あなたが危機感を持つことです。
あなたがどうしても保健所や病院に行けない、行くのが嫌なら自宅でHIV検査が可能です。2009年には5万4千人が検査キットを使ってHIV検査を受けています。(STD研究所ホームページによる
)
*いきなりエイズを防ぐには、早期のHIV検査しかありません。
STD研究所 STDチェッカー TypeJ(男女共用)
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