成人T細胞白血病を知ってますか
成人T細胞白血病(ATL)という感染症をご存知ですか?この病気の原因となるHTLV-Ⅰというウイルス検査が、国の公費負担で受けられるようになりました。今回はこの話題をお伝えします。
このニュースは10月6日厚生労働省から発表されたもので、妊婦健康診断のときに、HIVやB型肝炎と同時に検査を受けることが出来るようになったものです。いったい、このニュースの背景にはどんな事情があるのでしょうか。
そもそも成人T細胞白血病はどんな病気でしょうか。またHTLV-Ⅰとはどんなウイルスでしょうか。まずはここを最初に説明したいと思います。
THLV-Ⅰ=Human T-Lymphotropic Virus type Ⅰというウイルスは1981年京都大学の日沼頼夫教授 によって発見されました。成人T細胞白血病という、血液のがんの原因がウイルスであることを世界で初めて発見したのです。
成人T細胞白血病は、リンパ節が腫れたり、肝臓、脾臓が腫れます。HTLV-Ⅰに感染したT細胞(免疫細胞の一種)が、血液やリンパ液によっ て全身の臓器に広がっていきます。そして、免疫細胞がウイルスによって破壊されるため、最終的には免疫不全による日和見感染症を発症します。発症後は非常に致死率の高い病気です。
ATLの治療方法は骨髄移植や抗ガン剤投与などですが、最近では副作用の少ない免疫細胞療法が研究されています。この方法は人間が本来持っている免疫力をより活性化、強化してガン細胞だけを破壊しようとするものです。今後の研究成果に大きな期待が集まっています。
あまり知られていませんが、この成人T細胞白血病で亡くなる人は年間に1000人くらいいます。そして、ウイルスに感染しているけど、発症していないキャリ アと呼ばれる持続感染者は日本中に100万人ほどいると言われています。
キャリアはすごい数なのですが、ほとんどのキャリアは生涯ATLを発症することはありません。年間のATL発症数は500人から700人くらいなのです。(この数を少ないと言っていいのかどうか、議論はありますが)
このウイルスが人に感染するルートは3つで、性行為感染、母子感染、血液感染です。このうち一番問題になっているのが母子感染であり、その予防対策として冒頭お知らせしたように妊婦検診においてHTLV-Ⅰの検査が公費負担で受けられるようになったのです。
妊娠中にHTLV-Ⅰの感染が分かれば、母子感染を防ぐために母乳をそのまま赤ちゃんに与えないようにします。母乳の中にウイルスが含まれているのです。母乳をいったん、マイナス20度くらいで凍らせるとウイルスは死にます。それを解凍して赤ちゃんに飲ませれば感染を防ぐことができます。
なぜ今、公費負担でHTLV-Ⅰの検査を行うようになったのでしょうか。実は、HTLV-Ⅰの感染者は九州を中心に西日本に多いという地域性がありました。そのために国を上げての対策と言うよりも、地方自治体任せの対策がメインだったのです。九州各県の自治体ホームページには、その県の対策が紹介されています。
ところが近年、関東や都市部でもHTLV-Ⅰの感染者が報告されるようになってきたのです(実数は不明)。そのため、地方だけでなく国の方針を決めてキチンとした対策が求められていたという訳です。今回の厚生労働省の決定はその流れを受けたものです。
もしも、あなたがHTLV-Ⅰの感染が不安であればぜひ検査を受けてみて下さい。そして、仮に陽性判定であっても、慌てる必要はありません。ほとんどのキャリアは生涯発症することはないのですから。
なお、これはあまりお勧めは出来ませんが、献血でもHTLV-Ⅰの感染は教えてくれます。献血前のアンケートに、HTLV-Ⅰ検査希望としておけば、結果を教えてくれます。同じレトロウイルスのHIVは教えてくれませんが、HTLV-Ⅰは教えてくれます。ただ、献血本来の目的からすると、検査目的での献血はやはりいかがなものかと思います。
以上、成人T細胞白血病の原因となるHTLV-Ⅰの検査が、妊婦健康診断においては国の公費負担で行えるようになった、と言うニュースでした。
なお、成人T細胞白血病には、自宅で簡単に検査が出来る検査キットがあります。ご参考までに紹介します。
○成人T細胞白血病の検査キット
・
・
・
・
| 性感染症(性病)検査完全ガイド TOP |
・