性感染症をわざとうつしたら罪?
今回は、性感染症(性病)をわざと相手にうつしたら罪になるのか、お話したいと思います。
現在の性感染症に関する法律としては、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』と言うのがあります。この法律は1998年に制定され、1999年4月1日に施行されました。
そして、この法律が制定される前は、「伝染病予防法」、「性病予防法」、「エイズ予防法」と言う別々の3つの法律があったのですが、それを統合して1つの法律となりました。
この中の「性病予防法」には、性病を他の人にうつした場合の罰則規定が書かれてありました。同法の第26条、第27条に次のような規定がありました。
第26条:性病に感染している者が、売春行為を行った場合には、2年以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。
第27条:性病に感染している者を使って売春のあっせんをしたり、場所の提供を行った場合には、3年以下の懲役又は2万円以下の罰金に処する。
つまり、この法律は主に風俗店の経営者や、そこで売春行為を行う従業員を対象としたものだったように思います。確かに、一番の性病の発生源となりうる場所ですから当然ですね。
その罰則が適切かどうかは別にして、少しは性感染症拡大のブレーキとしての役割は果たしていたかも知れません。
でも、現行の『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』にはこのような罰則規定はありません。では、何も罪に問われないのかと言うと、そうではありません。実は刑法の「傷害罪」に問われるのです。
刑法第204条:傷害罪⇒「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となっています。(平成17年1月1日改正後)
普通、私たちがイメージする「傷害」とは、相手にけがをさせることですが、刑法上の解釈はもっと広範囲に及ぶそうです。生理的な機能を害すような行為も「傷害」となります。
例えば、相手にめまい、下痢、頭痛、腹痛などの症状を起こさせるような行為も傷害罪の対象となるのです。この解釈でいけば、当然性感染症を故意にうつせば傷害罪に問われます。
では、故意ではなかったら、どうでしょうか。自分が感染していることを知らず、結果的に相手に不本意ながらうつしてしまった場合には?
この場合には、「過失傷害罪」に問われる可能性があります。過失傷害罪の刑罰は,「30万円以下の罰金」又は「科料」です。(科料の具体的な金額は,1000円以上1万円未満です。)
現実に「失傷害罪」で訴えられたり、訴えたりするケースは少ないようです。感染のルート(相手)や日時を特定して、因果関係を証明することが難しいためです。
自分が感染していることに全く気が付かずに誰かにうつしてしまうことはあり得るでしょう。しかし、例え軽くても何らかの異常を身体に感じていながら誰かとセックスをして、性感染症をうつしてしまったら、それは傷害罪にあたるかも知れないことを覚えておきましょう。
もっとも、自分の感染を分かっていて誰かにうつすなんて、犯罪ウンウンの前に、人間としての人格を問われますね。
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