エイズの潜伏期間が短くなった?

HIVに感染してから、エイズを発症するまでの潜伏期間が短くなっているという情報をお伝えします。

1.情報源(その1)

この件に関しての情報元は2つです。1つ目は、「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医療ジャーナル社)という本からの情報です。本の編集をされたのは岡慎一氏でエイズ医療では大変実績のある有名な医師です。現在、国立国際医療センター戸山病院エイズ治療・研究開発センターのセンター長をされています。これまでに沢山のエイズ関連の著書も出されており、私もその何冊かを過去に購入して読みま した。

その本によると、岡氏が診ている医療現場では、HIVに感染してからほんの数年でエイズを発症する患者さんがかなり増えてきたそうです。つまり、HIV感染者の免疫力低下のスピードが速くなっているそうです。

今までの常識では、HIVに感染してもエイズ発症までは5年から10年という潜伏期間だと思っていました。それが近年ではそれよりもずっと短い期間でエイズを発症しているそうです。

この件に関しては、岡氏はネット上でも情報を発信されており、日経オンライン メディカルサービスの記事の中で同じ内容を警告されています。なぜエイズ発症までの潜伏期間が短くなったのでしょうか。岡氏の解説をご紹介します。

岡氏によると、HIV感染者のCD4陽性リンパ球の減 少速度が速くなっているのがその原因だそうです。この事実を根拠に、エイズの潜伏期間が短くなっているとご指摘されています。

CD4陽性リンパ球と言うのは、人の免疫機能をつかさどるリンパ球です。このCD4陽性リンパ球が多ければ多いほど、免疫力が強く、逆に減ってくる と免疫力が低下していることを示します。HIVは人に感染すると、このCD4陽性リンパ球に取り付き、この免疫細胞の中に入り込んで自分のコピーを増殖すると同時に、CD4陽性リンパ球を破壊していきます。

CD4 は健康な人なら、だいたい1立方ミリメートル(1mm×1mm×1mm)の血中に、800個 から1000個あるそうです。(700個~1300個とする説もあって、かなり個人差、幅があるようです。)これを表記するのに、800/μLと書きま す。

岡氏が勤務される、国際医療研究センター戸山病院では、HIV感染者の体内で、CD4の数が血液中で350/μL以下になったら、坑HIV治療を開 始し、薬を投与するそうです。

そのまま治療せずに放っておくと、CD4はどんどん減少し、外部から侵入するウイルスや細菌を免疫力で退治することが出来ません。そして、エイズ指 標疾患に上げられている23疾患の中のどれかを発症し、エイズ患者となるのです。

さ て、岡氏の調査による と、か つての血友病患者で血液感染したHIV感染者と、1997年から2007年に戸山病院で治療した82人のHIV感染者を比べると、CD4の減り方に大きな差が あったそう です。

◇1988年  HIV感染3年後、CD4が350/μL以上存在した患者の割合⇒47.6%

◇2007年  HIV感染3年後、CD4が350/μL以上存在した患者の割合⇒13.5%

いかがでしょうか。この2つのデータの比較結果を見ると、一目瞭然ですね。1988年の時点では、HIVに感染して3年経っても治療が不要な人はほ ぼ2人に1人いたのに対し、2007年にはわずか8人に1人近くまで減っています。

CD4の減り方が速くて、早期に治療開始となっている訳ですから、このデータは確かにエイズの潜伏期間が短くなっていることを示しています。(早期 に治療を開始しないと、エイズを発症している)

2.情報源(その2)

HIVに感染してからエイズ発症までの期間が短くなっている、という情報の発信元の2つ目は、2010年3月に改訂された、「抗HIV治療ガイドライン」です。こ の「抗HIV治療ガイドライン」と言うのは1998年から公開され始めたもので、日本のエイズ治療を世界標準レベルに保ち、国内のHIV診療に役立てるこ とを目的としています。

このガイドライン作成を担当しているのは、厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業「HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究」班(白阪琢磨班長)です。とても名前が長いのですが、国内の抗 HIV医療の第一線で活躍されている専門医が担当されています。

「抗HIV治療ガイドライン」の中で最近アメリカでは新たにHIVに感染した患者の36%が1年以内にエイズを発症したそうです。調査母数が書かれていないのでどの程度の規模の調査結果なのかは分かりませんが、1つ目の情報元である岡氏と全く同じ傾向を指摘しています。エイズを早期に発症するということは免疫力の低下が早まったということです。

3.潜伏期間が短くなった理由

では、そもそもCD4陽性リンパ球が減少する速度が速くなったのは何故でしょうか。岡氏の説明によれば、それはHIV自身がこの20年の間に変異を遂げたからです。HIVが体内で増殖しようとすると人の持つ免疫機能によって攻撃されるのですが、この免疫力からの攻撃をかわすような変異を遂げたのだそうです。

もともとHIVはひんぱんに変異を繰り返し、そのためにワクチンが作れず、薬も効かなくなってしまうウイルスです。そして薬に対してだけでなく、人の免疫機能に対しても逃れるべく変異を繰り返しているのです。

4.いきなりエイズのリスクが高くなっている

こうなると、HIVに感染してから早期に治療を受けないと「いきなりエイズ」を発症してしまいます。抗HIV医療は進んでおり、現在ではエイズ発症前に治療を開始出来ればエイズの発症を抑える(遅らせる)ことが出来るようになっています。

HIV感染は何も自覚症状がないので、自ら検査を受ける機会は少ないと思うのですが、もしもあなたにHIV感染の不安や思い当たる過去があれば、迷わずHIV検査を受けることをお勧めします。

もしもあなたが、保健所の対面検査が嫌だとか、検査に行く時間的余裕がなくて検査をためらっているのなら、どうぞHIV検査キットも検討してみてください。2008年には4万5000人が利用しています。自宅で誰にも知られず、自分の都合に合わせて検査が出来ます。

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クラミジア・淋菌・HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎
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