HIV/エイズ

HIV/エイズについて説明します。やはり、一番気になる性感染症です。

なお、HIV/エイズについての更に詳しい情報は、本サイトの姉妹サイトである、『HIV(エイズ)検査完全ガイド』をご覧下さい。

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1.HIV/エイズはこんな病気です

まず、HIVとエイズと言う言葉の意味から説明します。

◇HIV  Human Immunodeficiency Virusの略語。

ヒト免疫不全ウイルスのこと。HIV-1型とHIV-2型の2種類があります。人の体内に侵入すると免疫細胞を破壊し、やがて免疫不全による様々な病気を発病します。

◇エイズ AIDS Acquired Immune Deficiency Syndromeの略語。

後天性免疫不全症候群。HIVに感染した人が、免疫不全に陥って発症する日和見感染症などの総称を言います。

つまり、HIVとはウイルスの名前です。そしてエイズとは、HIV感染によって免疫不全となった為に発症する病気の総称です。エイズと言う名前の単独の病状がある訳ではありません。具体的には、ニューモシスチス肺炎やカンジダ症など、23疾患がエイズ指標疾患として定められています。HIV感染者がこの23疾患のどれか1つでも発症したら、その時点でエイズ患者と認定されます。

従って、HIVに感染しただけではエイズ患者ではありません。また、言葉の使い方として、エイズに感染すると言う表現は間違いです。感染するのはHIVです。HIVウイルスも厳密には間違いです。HIVでウイルスまで含まれています。このサイトではHIVとエイズは使い分けていますが、世間一般にはエイズの方がよく知られて分かりやすいため、一部にHIVとエイズを混同して使っているようです。

HIV感染、エイズ発症は、かつては不治の病、死の病でした。有効な治療法もなく、エイズを発症すれば2年くらいで死に至る恐ろしい病気だったのです。今現在でも、HIVにいったん感染したらそれを除去する治療法はありません。しかし、エイズ発症を抑える治療法は見つかりました。図3のグラフを見て頂ければよく分かると思います。

しかし、治ることのない不治の病であることは間違いないので、予防に徹するしかありません。

◇HIV感染者推移 平成11年から平成25年までの15年間 全数報告データ使用

新規HIV
図1.新規HIV感染者の推移

HIV感染者のデータは2014年5月23日にエイズ動向委員会から2013年(平成25年)のデータが公開されたのが最新データです。グラフを見てお分かりのように、ずっと右肩上がりで感染者が増加していたのが、ここ数年はやや横ばい状態、そして2013年は再び増加しています。

特に男性同士の性的接触による感染が増加しています。コンドームを使わないことが多く、またアナルセックスは傷や出血が多くHIVが感染しやすいのです。

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◇エイズ患者数推移 平成11年から平成25年までの15年間 全数報告データ使用

新規エイズ
図2.新規エイズ患者の推移

こちらもエイズ動向委員から2013年(平成25年)のデータが公開されています。新規エイズ患者は2011年、2012年とやや減少傾向にあったのですが、2013年は再び増加しています。

また、エイズを発症して初めてHIV感染に気が付く「いきなりエイズ」の割合もHIV感染者として報告された人の30.3%います。現在の医学ではエ イズ発症前に治療をすれば、エイズの発症を防ぐことが可能です。「いきなりエイズ」は早期のHIV検査で防げるだけに残念な結果です。

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かつてはHIVに感染するとエイズを発症し、数年後には死んでしまうことが多かったのです。しかし、1997年頃からARTと呼ばれる抗HIV 療法によって、HIVに感染してもエイズ発症を抑えられるようになってきました。これでエイズによる死亡者は激減したのです。

では、平成元年(1987年)から平成23年(2011年)まで、23年間に渡るエイズ患者の死亡数推移をグラフで見てみましょう。1997年(平 成9年)あたりを境に亡くなる患者が減っていることがよく分かると思います。(グラフ中、緑の点線が1997年です。)

◇平成元年から平成23年までのエイズによる死亡者推移(ただし、医療機関からの任意報告)

エイズ病変データ
図3.エイズ病変患者死亡数の推移

このように、今やHIV感染は早期発見さえ出来れば、必ずエイズを発症して死に至る病気ではなくなりました。一部のメディアでは「慢性疾患と同じよ うなものだ」とまで書かれています。少なくとも、早期発見出来れば致死的疾患ではなくなりました。

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◇HIV感染者 平成25年(2013年)における年齢層別感染者 全数報告データ使用

HIV年代別
図4.新規HIV感染者の年齢別分布

グラフをご覧になってお分かりの通り、HIV感染者は20代から40代、そして50歳以上にも幅広く存在します。まさにHIV感染に年齢は関係ありません。特に50歳以上には全体の13.8%の感染者が存在し増加傾向にあります。

中高年は若い世代に比べてHIVやエイズの情報・知識が不足しており、一方で危機感が薄く感染が拡大しているとの指摘もあります。中高年のあなたはご用心ください。

関連記事
◇「HIV感染者とエイズ患者」・・「都道府県別エイズ患者」(グループサイト「HIV(エイズ)検査完全ガイド」から)

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◇エイズ患者  平成25年(2013年)における年齢層別感染者 全数報告データ使用

エイズ年代別
図5.新規エイズ患者の年齢別分布

エイズ患者の年齢層別のグラフをHIV感染者の年齢層グラフと比較すると、ピークが後ろ(高齢)にずれているのが分かります。これは、HIVに感染 した後、エイズ発症までの潜伏期間が5年から10年と非常に長いことが理由だと思います。

しかし、同時に高齢者ほどHIV検査を受ける人が少なく、早期治療が受けられずにエイズを発症しているという一面もあるように思います。平成25年は50歳以上の新規エイズ患者が全体の33.5%にも達しています。

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2.HIV/エイズの病原体

HIVにはHIV-1とHIV-2の2種類があります。普通、私達がHIVと呼んでいるのは、ほとんどの場合HIV-1を指しています。なぜな ら、日本国内ではHIV-1の感染がほとんどであり、HIV-2の感染例はほんの数件しか見つかっていなのです。

そして、世界的に見てもHIV-1が世界中に感染しているのに対して、HIV-2は主に西アフリカを中心に感染が広まっています。でも、これから先はHIV-2に対しても警戒は必要なのだそうで す。

平成21年(2009年)2月に、厚生労働省から全国の地方自治体に対して、「医療機関及び 保健所に対するHIV-2感染症例の周知について(依頼)」と言う通知が出されています。この通知は日本国内において、HIV-2の感染例が見つ かったので、今後はHIV-2に対しても十分な警戒をするようにと呼びかけているものです。

では、HIV-1とHIV-2では、どう違うのでしょうか。まず、そもそもの由来が異なります。HIV-1と言うウイルスは、もともとはチンパン ジーに免疫不全を起こすウイルスで、それが人間に感染して生まれたと考えられているそうです。

それに対して、HIV-2は西アフリカに生息するスーティー マンガベイと言う、オナガザル科の猿に免疫不全を起こすウイルスが起源と考えられています。こちらのサイトに、スーティーマンガベイの写真がありました。 よかったら見て下さい。⇒「ニンバ山に生息 するスーティーマンガベイ」

HIV-1が発見されたのは1983年ですが、HIV-2はそれから3年あと、1986年に発見されました。日本国内においては、正式な報告では 2006年、西アフリカで輸血を受けて感染した例が最初とされています。(「これでわかるHIV/AIDS診療の基本」南江堂より)

そして、その後 2007年に2例、2008年に2例と複数の感染が見つかっています。このうち2例については、来日中の西アフリカ男性と性交渉を持った日本人女性が感染 したものです。まだ例は少ないのですが、これから日本でも広まる危険性があるのです。

HIV-1とHIV-2では、HIV-2の方が感染力は弱く、進行も遅いと言われています。しかし、HIV-1に対してHAART 療法と言う治療方法が確立しているのに対して、HIV-2に対しては治療法がまだ確立していないそうです。この点からもHIV-2の感染拡大に対 しては用心が必要ですね。

さて、HIV-1はもともとチンパンジーを宿主としていたウィルスだとお話しました。しかし、人間に感染するHIV-1はチンパンジーに対しては病気を起こしません。そして、人間とチンパンジーの遺伝子の差はわずか2%程度なのだそうです。この2%の差で免疫不全になるか、ならないかの差が生まれる と言うわけです。

ウイルスについてもっと詳しく知りたい人はこちらからどうぞ⇒「性感染症の病原体(ウイルス編)」
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3.HIV/エイズの感染ルート

HIVの感染力はとても弱く、感染ルートは限定されています。基本的には、①性行為感染、②母子感染、③血液感染の3ルートがあります。

①性行為感染

性行為感染では、HIV感染者の体液を通して感染します。感染の可能性がある体液としては、精液や膣液です。そして、感染する可能性のある場所は、口の中、ペニス、膣、尿道、肛門、直腸、傷口などです。

●挿入による感染
女性がHIV感染者の場合には、膣液から男性のペニス、尿道へ感染の可能性があります。
男性がHIV感染者の場合には、精液から膣粘膜へと感染する可能性があります。

この感染ルートにおいてはコンドームの使用が有効です。精液、膣液が直接接触するのを防ぎます。
ただし、コンドームの正しい使用方法が大事です。
コンドームの使用については、コンドームの正しい使い方」をご覧下さい。

●オーラルセックスによるHIV感染
オーラルセックスにおいては、口や舌などの粘膜に、精液や膣液が直接接触することにより、HIV感染の可能性があります。特に、口内に傷などがあるとより感染の可能性が高くなります。

●アナルセックスによる感染
HIV感染が男性の同性愛者に多いのは、アナルセックスが原因だと言われています。膣よりも直腸の方が感染しやすいと言われているのです。直腸は本来、性行為を行う器官ではないため、性行為によって傷つきやすく、毛細血管が切れて出血もしやすいのです。そして、この小さな傷口からHIVをうつしたり、うつされたりします。

アナルセックスにおいては妊娠する可能性ががないため、コンドームを使わないことも感染の多い原因となっているようです。

●ディープキス
キスそのものでは感染しません。唾液の量や、中に含まれるHIVの数では感染するまでには至りません。

●指などで触れる行為
HIVは人間の皮膚を通過して侵入することはありません。しかし指や手などに傷や炎症があって、その部分が精液、膣液、血液などに直接接触すれば感染の可能性があります。

ちなみに、クラミジア感染症や、淋菌感染症などに感染していると、HIVに感染する確率が高くなります。その理由は・・・こちらからどうぞ⇒「性感染症とHIV」
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4.HIV/エイズの検査方法

最初にお話しておきますが、HIVに感染したどうかは、これから説明するHIV検査を受ける以外に分かりません。ときどきネット上でも見かけますが、

「献血を受けて何も言われなければHIVに感染していない」

と言うのは誤りです。むろん、献血で採取された血液は、血液感染を防止するためにHIV感染の検査を行いますが、もしも感染が見つかっても血液が処分されるだけで、献血を受けた本人に感染は知らされません。

これは、もしも献血でHIV感染が分かるとなると、HIVに感染した可能性がある人が大勢献血を受けるようになって、血液感染が心配されるからです。一部に、表向きは知らせないことになっているけど、本当は知らせてくれると書いた記事を目にします。しかし、少なくとも日赤の公式見解はHIV感染があっても知らせない、であり献血ではHIV感染は分かりません。

詳しくはこちらから⇒『献血でHIV感染が分かるか?』(HIV検査完全ガイドより)

①スクリーニング検査と確認検査

HIV感染の検査は、スクリーニング検査と呼ばれる1次検査と、確認検査と呼ばれる2次検査の組合わせで行われます。まず、1次検査で、HIV感染がちょっとでも疑わしい人を全部「陽性」と判定します。非常に検査感度の高い検査なのです。つまり、絶対にHIV感染者を見逃さない、と言う検査です。

従って、この検査で「陰性」判定が出れば、HIVに感染していることはありません。でも、その逆に感度が高すぎるために、本当はHIVに感染していないのに「陽性」判定が出ることがあります。これを「偽陽性」と言います。

さて、この偽陽性が出る確率について、保健所でもらった資料には、100人に1人程度だと書いてありました。これは即日検査の場合です。

一方、保健所のHIV(エイズ)検査で本当の「陽性」が見つかる感染者は、1000人に3人の割合だそうです。
(HIV検査相談マップ 厚生労働省運営サイトによる)

この2つのデータを、同じ1000人基準で比べると、偽陽性は10人、陽性は3人ということになります。
偽陽性も陽性も、どちらもスクリーニング検査では陽性判定ですから、合計人数は13人です。

つまり、スクリーニング検査を受けた1000人のうち、陽性の結果が出るのは13人で、うち本当の陽性は3人、偽陽性が10人ということになりま す。

スクリーニング検査で陽性が出た場合、それが偽陽性である確率は77%です。凡その目安でしょうが、この確率を事前に知っておくといいと思います。
一次検査で陽性になっても、決してそれは確定したものではありません。

②ウインドーピリオド

HIV検査を受けるとき、要注意点として、ウインドーピリオドを避けて検査を受ける、と言うことがあります。このウインドーピリオドと言うのは、HIV検査を受けても正しい検査結果が出ない可能性のある期間を言います。

一般に、1次検査であるスクリーニング検査では、抗体検査と言うのを行います。これは、体内に入ったHIVそのものを見つける検査ではなく、免疫機能が働いてHIVに対抗する為に出来た抗体を検査するものです。

私たちの身体にウイルスが侵入すると、そのウイルスを退治しようとして、抗体が生まれます。この抗体はウイルスごとに種類が異なるので、HIV退治の抗体が生まれているかどうかを調べることによって、HIV感染の有無が判定出来ます。

ところが、この抗体は感染してもすぐには生まれないのです。個人差もありますが、絶対に大丈夫、と言う余裕を持った期間として、3ヶ月と言われています。つまり、自分がHIVに感染したかも知れない、と心当たりがある時から、3ヶ月経過してから検査を受けないと、本当に感染しているかどうかは、分かりません。

例えば、5月の終わりにHIV検査を受けて「陰性」との判定が出たら、それは3ヶ月前の、2月の終わりまではHIVに感染していなかった、と言うことだけを保証してくれるのです。3月、4月、5月に感染していても、それは判定出来なかった可能性があるのです。HIV検査は保健所で無慮・匿名で受けることが出来ますが、HIV検査申し込みを行うと、必ずこのウインドーピリオドを確認されます。

この3ヶ月と言うのは、抗体検査と言う検査方法に対するウインドーピリオドです。抗体検査以外にも、NAT法、抗原抗体同時検査法などがあり、ウインドーピリオドが異なります。

③NAT法と抗原抗体同時検査

◇NAT法(核酸増幅検査)
HIVの中の遺伝子の一部分を増幅器にかけて増やすことで、わずかなHIVの存在や量を調べることができるエイズ検査です。

専門書ではこんなふうに説明されていますが、実際のところよく分かりません。要は抗体を調べるのではなく、ウイルスそのものを調べる検査ってことですね。

もともとNAT検査は、感染した人の治療のためにHIVの量を調べたり、輸血などに使われる血液製剤の中にHIVが含まれていないかどうかをチェッ クするために開発されました。しかし、最近ではわずかなHIVの存在でも分かることから、感染の初期検査としての利用が試みられるようになっています。

ただし、感染してから血液中でHIVが増えるスピードには個人差があり、この検査が可能になる時期(ウインドーピリオド)は感染してから6週間後と 言われています。

今のところ日本では、NAT検査のみで感染の有無を判定することはせず、必ず抗体検査や抗原検査とセットで判定されているそうです。また、スクリーニング検査で陽性になったときの確認検査としても使われます。HIV-1型にしか使うことが出来ず、HIV-2型の検査は出来ません。

◇抗原抗体同時検査
抗原検査とは、HIVの一部分であるHIV抗原を検出する検査方法です。抗体が作られるよりも早い段階で感染の確認が可能です。ただし、抗原が減少すると検査しても反応しなくなるので、抗体検査とセットで使われることが多いそうです。これを抗原抗体同時検査と呼びます。

この検査のウィンドーピリオドには明確な基準がなく、検査機関によってまちまちです。
ちなみに東京都では感染の機会から60日以上経過してエイズ検査を受ければ正確な結果が得られるとしています。このエイズ検査ではHIV-1型しか検査で きません。

このページではHIV(エイズ)検査の種類を色々と説明しました。何やら難しい専門用語も多く出てきて、理解しにくいと思います。私の理解では、大事なことは、次の2点です。

◆私たちが通常受けるHIV(エイズ)検査は抗体検査と言う方法で、感染の可能性があった日から3ヶ月してからでないと、検査を受けても正確 な結果がでません。

◆HIV(エイズ)検査は、まず感度の高いスクリーニング検査を行い、陽性判定が出た場合は、偽陽性を確かめるために確認検査を行います。確認検査 では偽陽性は出ません。
HIV(エイズ)検査の正しい検査結果を得るのに、この2点はとても重要かなと思います。

HIV検査の種類や原理を説明するのは非常に長文になります。もっと詳しくHIV検査について知りたいあなたは姉妹サイトへどうぞ。『HIV検査とは?』
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5.HIV/エイズの症状

感染して2週間から6週間ほど後に、風邪によく似た症状が出ることがあります。これを急性HIV感染症と言います。発熱、喉の痛み、頭痛、倦怠感、または帯状疱疹(たいじょうほうしん)が出ることもあります。この急性HIV感染症は、全てのHIV感染者に出る訳ではなく、何も症状の出ない人もいます。

この急性HIV感染症は、放置しておいてもすぐに治ります。そして、ここから長い潜伏期間に入るのです。一般には5年から10年くらいの潜伏期間があると言われています。(ただし近年潜伏期間が短くなっており、HIV感染から3年以内でエイズを発症する事例が多く報告されています)

潜伏期間中も、HIV感染者の体内ではHIVが増殖し続け、免疫細胞を破壊します。そして、段々と免疫力が低下し、健康な人なら全く問題ないウイルスや細菌や、真菌などに感染するのです。

免疫力が低下しているため、HIV感染者の体内に入ったこれらの病原体は暴れ放題です。カンジダ症やニューモシスチス肺炎などの日和見感染症と呼ばれるもの、カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫のような日和見悪性腫瘍、そして HIV脳症、HIV消耗性症候群などを発病します。

関連記事:「エイズの潜伏期間が短くなる?」(「HIV(エイズ)検査完全ガイド」参照)
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6.HIV/エイズの治療法

HIVに感染すると、今のところ治す治療法はありません。HIVを体内から除去出来ないのです。しかし、エイズ発症を抑えることは出来るようになりました。それは、ARTと呼ばれる治療法が1997年ごろから広まった成果です。ARTとは、 anti-retroviral  therapy の略です。この方法は多剤併用法であり、次の3種類の抗HIV薬を組み合わせて患者へ投与します。

◇NRTT:核酸系逆転写酵素阻害薬

◇NNRT:非核酸系逆転写酵素阻害薬

◇PI:プロテアーゼ阻害薬

この3種類の薬は、それぞれの分類の中に更に複数の薬があり、合計で18種類が現在日本国内では使用認可されているそうです。例えば、NRTTから2種類、NNRTから1種類、PIから2種類、合計で5種類の薬を1日1回投与する、といった使われ方をするようです。このため、このHAART療法はカクテ ル療法とも呼ばれています。飲むカクテルみたいに色々と混ぜるからですね。

なぜ、こんなふうに何種類もの薬を混ぜて投与するかと言えば、ある1種類だけの抗HIV薬品では、簡単に耐性が出来てしまうからだそうです。しかも 短期間で新しい形に変わり、薬が効かなくなってしまうのです。そのため、何種類もの薬を同時に投与して、薬の有効性を長期に確保するのです。

専門的なことはよく分かりませんが、NRTTとNNRTは、HIVが自分の遺伝子であるRNAを、感染した宿主細胞のDNAへ転写するのを阻害する 働きがあります。つまり、遺伝子をコピーするための転写をじゃまして、コピーさせないようにする働きです。一方、PIは転写された遺伝子を組み立てる段階 を阻害する働きがあります。この3種類を同時に使用して、HIVが増殖する入り口と出口の両方を阻害し、複製を作らせないようにじゃまするわけです。

この方法が1996年から1997年ころに世界中に広がり、めざましい効果を上げるようになったのです。アメリカでも日本でも劇的にエイズ患者の死亡数が減りました。

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7.HIV/エイズの注意点

とにかく、HIV感染は完治させる治療法がありません。治らないのですから、予防するしか手はありません。何となく、根拠もなしに自分だけはHIV感染なんてしないだろう・・・そう思うことが一番危険です。後悔したときにはもう手遅れです。自分の身を守ることが出来るのは自分だけです。コンドームを使用するか、セックスの相手を限定していっしょに検査を受けて陰性を確かめることが大事です。「性感染症の予防」をご覧下さい。

そして、万一不運にもあなたがHIVに感染してしまったら、可能な限り早期に治療を開始することです。現代医学ではエイズ発症前に治療を開始すればエイズの発症を防ぐことが可能です。

そのために早期のHIV検査が何より重要です。HIV感染は自覚症状が出ないことも多いので、例えあなたに何も自覚症状がなくても、HIV感染不安があればぜひ早期に保健所などでHIV検査を受けて下さい。

HIV/エイズについての更に詳しい情報は、本サイトの姉妹サイトである、『HIV(エイズ)検査完全ガイド』をご覧下さい。
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8.検査キットのご紹介

HIV/エイズ用の検査キットのご紹介です。

「いきなりエイズ」を発症する前に感染が分かれば早期治療が可能です。抗HIV治療のいい薬も開発されています。検査キットの中ではやはり一番よく売れています。実は、私もこれを使いました。

STD研究所のホームページによれば、20011年にHIV検査キットを使ってHIV検査を受けた人は6万5千人でした。保健所などで行っているHIV検査が年間に約13万人くらいですから、いかに検査キットを利用する人が多いか分かります。

*HIV検査は保健所に行かなくても自宅で可能です*

・STD研究所 STDチェッカー TypeJ(男女共用)
HIV検査ができます

・STD研究所 STDチェッカー TypeO(男女共用)
HIV、梅毒、B型肝炎の検査が同時にできます。この3疾患は重複感染の多い性感染症です。

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