最近、ネット上で性感染症に関する記事をいくつか読んだのですが、その中にこんなことが書かれていました。

「近年、高齢者の性感染症感染者が増える傾向にある。」

と言うことなのです。

それは高齢化社会が進むと同時に、バイアグラなどの薬が普及するようになったせいだそうです。

まぁ、それはそれで正しい理屈かも知れません。

しかし、高齢者の性感染症感染者が増えていると指摘するなら、きっちりデータを示して欲しいなぁと思いました。

定量的な根拠、数値データが見たいと思いました。

でも、どの記事にもそんなデータは載っていませんでした。

これではいったい何を根拠に「高齢者の性感染症感染者が増加している」と言えるのか、分かりません。

そこで私が自分で調べてみました。

本当に近年、高齢者の性感染症感染者は増加しているのか?

高齢者、または高齢者予備軍のあなた、ぜひ最後までお読み下さい。

【今回のテーマと目次】

●テーマ:高齢者(60歳以上)に性感染症感染者は増加しているのか?

1.厚生労働省のデータ

2.60歳以上の感染者の件数

3.60歳以上の感染者の割合

4.まとめ

1.厚生労働省のデータ

厚生労働省では毎年、主要な性感染症の動向データをネット上でに公開しています。

まず、HIV/エイズに関してはこちら。

■エイズ動向委員会報告

梅毒、クラミジア、淋菌、性器ヘルペス、尖圭コンジローマに関してはこちら。

■性感染症報告数

この2つのデータの中には、年代別の感染者数が載っています。

そこで、高齢者の感染者を調べてみました。

まず、高齢者を何歳以上とみるか、と言う問題があります。

ネット上の多くの記事では概ね60歳以上を高齢者として扱っているようです。

そこで、私も60歳以上の感染者を調べてみることにしました。

また、性感染症ごとの感染動向データについては、以下のように全数報告データと、定点報告データの2種類に分かれています。

●全数報告データ

HIV/エイズ・梅毒の2つの性感染症が対象。

全国、どこの医療機関で見つかっても保健所を通じて都道府県知事に報告しなければなりません。

従って、HIV感染者、エイズ患者は全数報告されています。

むろん、HIV感染者は検査を受けて結果が陽性と判明した人たちです。

HIV検査を受けない潜在的陽性者が60歳以上にどのくらい存在するか、それはデータがありません。

 

●定点報告データ

クラミジア・淋菌・性器ヘルペス・尖圭コンジローマの4つの性感染症が対象です。

全国に985ヶ所の指定医療機関があり、そこで感染が見つかった場合に報告される仕組みになっています。

HIVや梅毒のように全国どこの病院で見つかっても報告される、と言うことではありません。

指定医療機関以外の病院で見つかった場合は報告されません。

従って感染者の全数は分かりません。ただ、性感染症の動向として増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、あるいは横ばい状態か、そうした傾向を把握するのが目的です。

 

2.60歳以上の感染者の件数

それではまず、60歳以上の性感染症の感染者報告数を見てみましょう。

平成19年(2007年)から平成28年(2016年)までの10年間を調べてみました。

●60歳以上の感染者報告件数

 年度 HIV
エイズ
梅毒 クラミジア 淋菌 性器
ヘルペス
尖圭コンジ
ローマ
H19 89 93 248 138 859 155
H20 106 102 220 148 858 203
H21 84 85 294 153 898 200
H22 114 111 314 171 995 193
H23 104 138 291 165 970 194
H24 98 113 248 169 1,027 268
H25 149 160 288 171 1,050 237
H26 100 201 296 159 1,072 239
H27 81 240 295 177 1,025 314
H28 107 406 286 144 1,107 251

表1.60歳以上の感染者報告件数

表では年度毎の変化が分かりにくいので、グラフにしてみました。

下のグラフ1をご覧下さい。

60歳以上割合

グラフ1.60歳以上の感染者報告件数

さて、グラフ1をご覧頂いていかがでしょうか。

「近年、高齢者の性感染症感染者が増えている」

と色々な記事で指摘されていますが、その実態は?

確かに性器ヘルペス、梅毒は近年増加傾向にあると言っていいと思います。

しかし、それ以外の4つの性感染症はどうでしょう?

近年増加していると言えるでしょうか?

いや、このグラフから見る限り、決して増加傾向にあるとは言えないと思います。

厚生労働省の資料以上に正確かつ広範囲なデータはないので、これはどう考えても

「近年高齢者の性感染症感染者は増加している。」

とは言えないと思います。

「近年、性器ヘルペスと梅毒では高齢者の感染者が増えている。」

これなら言えると思います。

 

3.60歳以上の感染者の割合

では、次に60歳以上の感染者が、全体に占める割合をご覧頂くことにしましょう。

先ほどの表1、グラフ1では感染者の報告件数でした。

例えば、報告件数は横ばいでも全体の感染者数が減っていれば、相対的に60歳以上の感染者は増加していると言う見方も出来ます。

ではさっそく、6つの性感染症の感染者全体に占める、60歳以上の割合をご覧頂きます。

●60歳以上の感染者の割合

 年度 HIV
エイズ
梅毒 クラミジア 淋菌 性器
ヘルペス
尖圭コンジ
ローマ
H19 5.9% 12.9% 0.8% 1.2% 9.3% 2.5%
H20 6.8% 12.3% 0.8% 1.4% 10.3% 3.4%
H21 5.8% 12.3% 1.1% 1.6% 11.6% 3.8%
H22 7.4% 17.9% 1.2% 1.7% 11.8% 3.7%
H23 6.8% 16.7% 1.1% 1.6% 11.8% 3.7%
H24 6.8% 12.9% 1.0% 1.8% 11.9% 4.9%
H25 9.4% 13.0% 1.1% 1.8% 12.0% 4.1%
H26 6.5% 12.1% 1.2% 1.6% 12.4% 4.2%
H27 5.6% 8.9% 1.2% 2.0% 11.4% 5.4%
H28 7.4% 8.9% 1.2% 1.7% 12.1% 4.4%

表2.60歳以上の割合

こちらも表では分かりにくいのでグラフにしてみました。

60歳以上割合

グラフ2.60歳以上の割合

さていかがでしょうか。

グラフ2をご覧頂いて、近年高齢者の感染者が増えていると言えるでしょうか。

これはどう見ても、ほぼ横ばい状態のように見えます。

それぞれの性感染症における60歳以上の割合が増加しているとは言えないと思います。

 

4.まとめ

では今回、厚生労働省の資料から分かったことをまとめておきます。

●梅毒、性器ヘルペスの感染者報告件数においては、ここ数年60歳以上が増加傾向にある。

●HIV/エイズ、クラミジア、淋菌、尖圭コンジローマについてはほぼ横ばい状態である。

●6つの性感染症における60歳以上の感染者が、全体に占める割合はほぼ横ばい状態で増加傾向にはない。

こんな感じです。

従って、ネット上の多くの記事で

「近年、高齢者の性感染症感染者が増える傾向にある。」

と指摘されていますが、それは梅毒と性器ヘルペスの2つの性感染症だけに限った傾向であり、性感染症と全部をひとまとめにしては言えないと思います。

ちなみに、今回の真逆で、

「近年、低年齢層にも性感染症が広まっている。(感染者が増加している)」

と言った指摘もよく見ます。

しかし、これも定量的なデータで検証して見ると、決してそうは言えないことが分かります。

今度機会があれば、低年齢層のデータもご紹介したいと思います。

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